Sakamoto X diary

坂本啓の脳内ダンプ

📚 「はんだ付けの科学」まとめ

はんだ付けの科学 ver.1.1(ダウンロード商品) - Kosaka.Lab. - BOOTH

最重要キーワード四天王

  • 自由電子
  • 共晶点
  • 表面張力
  • 合金形成の親和性

はんだ付けとはそもそもどんな作業か

「ろう」として「はんだ」を用いたろう付け作業。概念と実装パターンみたいな感じ。

自由電子

自由電子の働き 金属の性質
① 電気を運ぶ 金属は電気を伝える
② 金属をくっつける 金属は接合できる
③ 熱を運ぶ 金属は熱を伝える
④ 金属を粘り強くする 金属は粘り強い

この①と②の働きを利用したのが 「はんだ付け」

三種類の金属接合技術

金属を接合する技術には「圧接」、「溶接」「ろう付け」の3つがある。

はんだ付けはこのうち「ろう付け」にあたる。

「はんだ」というのは「ろう」の一種。

母材と母材の間に低温で溶ける金属(ろう)を流し込んで接合面で 母材~ろう~母材 の間で自由電子が行き来 するようにして接合するのがろう付け。

自由電子の移動

接合面で金属結晶がきちんと形成されて共有された電子雲同士がしっかりと接合されると自由電子が移動できるようになる

はんだ付けが機能をなさないパターン

結局酸化してるものがあかんっぽい

①錆

自由電子が移動できるようにするのが大事なので母材表面に錆があると自由電子の行き来ができず,はんだは錆にはじかれてしまい、はんだは付いていても 導電できないことになる。

②酸化膜に覆われている

アルミやステンレスは普通の共晶はんだだけではんだ付けすることは難しい。

これはこれら金属の表面を強力な酸化物の膜が覆っている。

そのためこれらの金属はそれ以上錆びることはないが、この酸化物の膜が覆っているとはんだのスズが母材に侵入することができず合金層を形成できない。

はんだとは何

共晶はんだのことをほぼほぼ指しているんだと思う

「共晶」とは、融液から同時に2種類の固相が晶出すること。

「共晶点」とはその時の温度

合金の融点は共晶ができる比率で最も低くなる。(P17 の図を参考にこの意味を確認すべし)

スズ 63% 鉛 37% の共晶はんだでは溶融ゾーンがない。つまりどちらかの合金のみを析出させて溶液の比率を変える必要がない。

スズの融点は 231.997 ℃、鉛の融点は 327.25℃

なぜこれらが混ざったはんだは共晶点がこの二点よりも低い 183℃になるのか。直感的にはこの中間に位置しそうな気がする。

GPT 先生に聞いた結果

なんかよくわからんけどとりあえず相互作用っていうのがあるらしい

フラックスの役割

フラックスは溶けたはんだの表面張力を弱める薬品

溶けたはんだの表面張力を弱めてはんだを母材にうまく流れるようにする。

フラックスが無ければ、表面張力がはたらき、はんだゴテのコテ先に溶けたはんだが丸まって母材に流れて行かず自由電子が行き来する広い面を作れない。

自分が持ってるはんだの成分

スズ 60% 鉛 40% だった

2024/08/26追記

とあるイベントで使わせてもらった鉛フリーはんだの場合は以下。スズ、銀、銅。割合はよくわからない。

なぜこの元素構成なのか

合金形成の親和性が高いから、というのが理由。なんだけど、つまり母材によって親和性の高い元素は異なるから、多分母材の性質によってはんだの成分は変えるべきなんじゃないかなと予想している。知らんけど。

以下の場合は母材が「銅」 だとして話を進める。 

合金形成のメカニズムは主に二種類ある。

条件 合金形成のメカニズム
原子のサイズが大きく異なるとき 入り込みによる合金形成 鋼:鉄と炭素の合金
原子のサイズが比較的近いとき 置き換わりによる合金形成 青銅:銅とスズの合金

銅とスズの親和性は周期律表からわかる。

原子のサイズは同じ縦列ならば下のほうが大きく,同じ横列ならば左側のほうが大きい。

鉛(Pb)の原子サイズ > スズ(Sn)の原子サイズ > 銅(Cu) の原子サイズ

二つ目の方の、原子の「置き換え」による合金形成は原子のサイズが近いほうがいいので、鉛よりスズの方が銅に近いことから親和性が高い。


銅母材とはんだの接合面で銅・スズの金属結晶が形成し,はんだの中ではスズ・鉛の結晶が連続し,もう一方の銅母材とはんだの接合面でスズ・銅の結晶が形成されるという 母材~はんだ~母材間 の連続した結晶構造により「くっついた」状態となるのがはんだ付けである。

鉛はスズと共晶を形成し扱いやすくするために用いているだけなのでこれを他の金属種に置き換えることも可能

自分調べ & 予想

そもそもスズは耐食性が高いという性質がある。

金属の中で融点が低くい(加工しやすい)、かつ耐食性が高い という理由でスズが合金形成の相手として選ばれているのかなと思う。

ですずと相性が良いのが鉛であるというふうに、鉛は自動的に決まってくる感じかなー 鉛も融点が低いし、耐食性が高い。

GPT 先生に聞いたら概ね合ってるっぽかった。加えて、これら二つの結晶合金は共晶点がさらに低くなるので、扱いやすさがアップするという話も指摘してくれた。

つまり結局、融点が低くいので扱いやすくて耐食性が高いということで合ってるっぽい。